第2波フェミニズムとフリーセックス思潮(1)データ

からの続き


フェミニズムとフリーセックス思潮の関係を調べたのが、このデータである。

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(全赤線はブログ主による)


キリスト教とセックス戦争』 カレン・アームストロング著 1986

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フェミニズムの最近の波が1960年代と1970年代のセックス革命と歩調を合わせていたのは偶然ではない。女性がひとたび性的により自由だと感じ始めた時、社会全体の中で自分たちの位置を再吟味し始めた。避妊という奇跡は、欲しない妊娠への恐怖なしにセクシャリティを楽しむ自由を彼女らに与えた。」
「セックスの自由と、性的により寛容な雰囲気が彼女らに解放の暗示を与えたとすれば、・・・」


【解説】
要するに以下のような主張である。


西欧でセックス革命が起こった
  ↓
一部の女性が性的に自由だと感じた
  ↓
セックスの自由と、性的により寛容な雰囲気が彼女らに解放の暗示を与え、自分たちの位置を吟味し、第2波フェミニズムの波が起こった

  第2波フェミニズムは性革命から、引き起こされたのである。





では、日本でフェミニズムの代表的人物である上野千鶴子による主張から、フリーセックス思想をつかみ出しておこう。


セクシャリティを言葉にする』 上野千鶴子対談集

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上野
「少なくともわたしは、女にとって何よりも大事なものを「自由」だと考えた。その中でも、性的な自由ほど大事なものはない。一夫一婦制が諸悪の根源ということを思想として宣言したのは、フェミニスムだけよ。」









【解説】
フェミニ集団が、結婚制度を敵視するデモをしていた話を以前あげたがhttp://blogs.yahoo.co.jp/kurodakango/14126485.html、それは、つまり性的自由であるためであり、自由にセックスしたいので、一夫一婦制を敵視し、「諸悪の根源」と見なしているわけだ。

これは夫一婦制を廃し、誰とでも自由に性交できる世界を目指しているのである。

上野には、<やりまんの薦め>というべき意見もある。



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←目指しているのは、「ヤリマンが堂々と言える社会」らしい。


















                 性革命とリブの女たち
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「この頃世界的にわき起こったのが性革命でした。私たちの学生闘争は政治と性がセットになった戦いだったのよ。」

「性革命というのは、確かにひとつの革命だったもの。規範を侵すという意味でも革命的行為でした。」

「性的にもラディカルであろうとしていた。」






この著作のp240では、「性の解放はリブにとって中心的課題でした」とも述べている。

ここでいうリブとはウーマンリブ運動の事だが、ウーマンリブとはそもそもどういう運動だったのだろうか?

これをリポートしてくれているのが、立花隆アメリカ性革命報告』である。



          家庭破壊思想としてのフェミニズム

 アメリカ性革命報告』 立花隆 1979年

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簡単に解説しておこう。

ケイト・ミレットの『性の政治学ウーマン・リブの基本文献である。簡単にまとめると「セックスは男性の女性に対する支配」であり、「隷属関係であり」「搾取と抑圧の原型」であり、性革命によってこの支配体制をひっくり返すのだというものであり、「男性が女性より優位」であり「両性にはそれぞれ適した役割」が有ると言うのは嘘だという。
さてここからが、すごいところだ。

「社会制度としての父権制の原単位は、一夫一婦制によって築かれている家族であるから、まずここを切り崩さなければならない。父権制的一夫一婦制を守っているあらゆるタブーと闘うために、同性愛、婚前セックス、婚外セックス、私生児などを社会的に受容して行くことが必要である。男性優位主義イデオロギーを排撃し、そこから生まれる男らしさ、女らしさに対する社会的評価を全部捨てさらせる。」

いや、もうテロリストが書くような先扇動的世界にいささか食傷気味ではあるが、現在の日本でなされているジェンダーフリーや同性愛容認運動が、どこから、何を目的として出て来たのかがよく分かる。

それは家族制度(一夫一婦制)破壊運動なのである。
男らしさ、女らしさを切り崩し、同性愛、婚前セックス、婚外セックス、私生児などを社会に蔓延させて行けば、一夫一婦制は破壊され、母権社会になるという事か?
こうした因果関係と根拠の無い妄想からウーマンリブが生まれたわけだ。

「家族構造を破壊し、男性支配を消滅させ、そうしたことを通じて社会の真の政治的、経済的な変革も可能となる。」

なるほどこれは上野の言う通り、「一夫一婦制が諸悪の根源ということを思想として宣言したのは、フェミニスムだけ」ということになるだろう。

そして立花隆によれば、こうしたリブの思想は、ウイリアムライヒからの借り物だという。
さんざん、「女がどうのこうの」言っておいて、結局はどこかの男が唱えた「性革命」理論を唱えるだけというなんとも締まらない話だね。ライヒというのはネオフロイド派の分析家である。




元々フロイドは、性の問題を過剰に捉えた人物である。そのフロイドに嫌われながらも、弟子であったライヒは、フロイドの性理論を元に、マルクスの革命思想を加邁しながら、自分の理論を構築していく。フロイドの昇華による文明構築はライヒによって否定され、本能の充足を重視し、満足しえるオルガスムを得ることこそが、人間を抑圧から解放し自由をもたらす。上野が上で述べている「性の自由」はまさにライヒの理論と言えるであろう。そして性器による性の自由な実践こそライヒの真骨頂なのである。1960年代の欧米を席巻したフリーセックス思想の登場である。



さて、上野に戻そう。

上野千鶴子には、『家父長制と資本主義』という興味深い著作がある。ライヒケイト・ミレットが、フロイドとマルクスを組み合わせたように、その同じスタンスから、


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『家父長制と資本主義』






このシリーズの次回は、上野の語るフェミニズム理論について、さらに掘り下げてみる。