いまだに共産主義者なのか?=有田芳生氏の論考を考察する=
著作『日本共産党への手紙』のあとがきでこう書いたという。
それは共産党の小林栄三・思想建設局長(当時)の論文の考え方の延長にあるようだ。小林栄三は
『東欧社会主義の崩壊が党内に「不信感や動揺」を生んだため、かつて党が分裂した「五〇年問題」後の「党の再出発のときと同じぐらいの覚悟と構え」が必要だ』
という考え方をしていたらしい。
また、党内で行われている情報統制について
『共産党幹部の著作は、それが誰のものであろうとも関係部局の「点検」を受けることを私は知っている。誠実な榊さんが私の名前をいっさい書かないのは、自己規制でないとすれば、組織の意志にほかならない。』
と書くが、その情報統制と圧迫の原因については、
つまり、共産党員も外の社会のやり方を吸収し、「その精神構造を抱え込んだ」というのである。
しかし、これは非常に盲目的な考察と言えるだろう。
なぜなら、ほとんど全ての共産主義国家の内部で厳しい統制がなされ、それに適合しない人達をパッシングし、粛清してきたからである。
私が思うに、共産主義という思想には何かとてつもない欠陥があるのだ。しかし有田はその欠陥に対して盲目である。それは有田だけにある精神構造ではなく、広く現在の共産主義者に共有されている精神バイアスなのである。