フェミニストのバイブル ケイト・ミレットの『性の政治学』を読む
内容についてはこれまで述べていた通りである。
簡単にまとめると
という事になる。
あとがきを見てみよう。
①女性解放運動の中で「運動のバイブル」とされた事
なるほど、上野が影響を受けた理由も分かる。
p619
次に、フロイドとライヒ発「性革命」の影響を見てみよう。
一応、目次を示しておくことにする。
p6
フロイド・エンゲルス・性革命などの目次が見えるはずである。
フェミニズム運動のはじまりである(とフェミニストたちが見なしている)『女性の権利の擁護 (Vindication on the Rights of Woman) 』(メアリ・ウルストン・クラフト著)は、女性の権利拡大を目指した。男性と同じ政治的権利や教育を受ける権利を女性も持つべきだという主張であり、それは正当な要求であった。
しかし、第2波フェニミズムは(少なくともケイト・ミレットは)女性の権利拡大運動ではない。
女性の権利拡大運動ではなく、女性の性の道徳からの解放運動なのである。いや権利という言葉を使うなら、それは「道徳に縛られず、女性が誰とでも自由に性交しうる権利」ともいえるかもしれない。言葉を換えれば、「性道徳破壊運動」ともいえる。そしてそれは、その発生源である共産主義同様に、世界に破壊と荒廃をもたらそうとする。その破壊の標的こそ、20世紀になってやっと確立されてきた一夫一婦制の結婚制度であった。熱心なキリスト教徒であったメアリ・ウルストン・クラフトの願いは、結婚制度の破壊などではなかったのだが、唯物論を経由しながら、20世紀後半の女性運動は変質してしまったのである。
こうしてフェミニズムが一夫一婦制の破壊をしてきたので、米国では米国大統領が「家族の価値」を唱えた。これにならって、日本でも日本会議などが、ジェンダーフリーを敵視しながら、「家族の価値」を言い募った。ただし、日本会議のよみがえらせようとする日本の伝統的家族とは、米国のピューリタン的な家族観ではなく、明治国家の家族観であることを理解しなければならない。女性の権利が著しく抑制され、男性は妾を持てる一夫多妻制であり、父母への崇拝と先祖祭祀に基づく先祖崇拝、そして究極的には現人神・天皇を崇敬するという世界観である。
フェミニズムはこうした彼らの主張に一定の正当性を与えてしまったのである。
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