お天道さまは見てた




戦国時代から日本では、「お天道さま」の思想が広まった。

天道とは、

「自然に定まっている道理。天然自然の道理。天の道。天理。」「天の神。天帝」・・・だとコトバンクは述べている。

「天道、天の摂理に背かないように生きるべき」という観念は孔子の言葉にもあり、後の儒教においては中心的課題となった。



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                         ( 『中国思想辞典』より )


12世紀、朱熹儒教を体系つけ、中国に 「性即理(人間の持って生まれた本性がすなわち理である)」という朱子学が広まる。すぐに朝鮮半島でも広まり、やがて14世紀、朱子学を国教とした李氏朝鮮が誕生した。そしてその頃から日本でも「天道思想」が広まりはじめる。今日ほどではないが、中世においても、日本は東アジア各国と連動していたのである。

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宇宙を支配し、善悪を分別する原理である天道思想は本来的に、キリスト教に近いものだが、日本では、むしろ神道観念に影響を受け、アマテラスと天帝を混同する思想が生まれた。

どこの国でもそうだが、為政者たちは自己の正当化と権威つけにこれを利用しようとした。

         (キリスト教歴史辞典』より)


しかし、こうした思想の成果を為政者の支配原理としてのみ考えるのは間違っている。庶民の中にあって、「お天道さま」は様々な倒錯を含みながら、悪事を退け、善を立てる良心の行為として、豊かに展開していくことになる。

お天道さまはいつも見ているからである。