『ある朝鮮総督府警察官僚の回想』から分かる事

『ある朝鮮総督府警察官僚の回想』から分かる事
 
すでに終戦の放送があった直後の話である。
 
15日夜、地区司令官は防衛招集を発令しようとした。召集の発令は軍の絶対権限であるが、令状の配達など、それを実施する事務は、朝鮮では警察に委任されていた。警察が動かなければ、何もできない仕組みであった。
これまでは軍の指令は絶対のものとして、そのまま忠実に召集事務は完全に遂行されてきた。しかし、この度の召集発令は、そのままに盲従して伝達する事はできないと思った。大命によってすでにすでに終戦が決定していた。日本軍が戦うべき敵はまったくないはずである。この期におよんで新たに兵を招集するとは、狂気の沙汰としか思えなかった。
地区司令官、頑迷な老将軍はすこぶる感情を害したらしいいが、この召集は軍上層部からの指令によったものではなかったらしく、そのまま沙汰やみとなった。(P138)
 
この文章の青線は、それまでその手の召集が何度もなされた事を示しているのである
また、軍の意向が絶対視されていた事を教えてくれる。