村山談話と今日

 
1995年敗戦50周年を迎えたとき、たまたまその時首相だった村山首相は、それまでに無いほど明確な口調で謝罪をし、不完全ながらも「日本の侵略」について触れ、その気持ちをいくつかの新しい政策によって表現しようとした。
だが、その時ですら、謝罪の気持ちをこめて国会が決議を出すという案は結局は強硬な反対にあって採択されなかったのである。
 
この案は「敗戦50年国会決議」という名前である。
 
さてこのとき、強硬に反対したグループにいたのが、安倍普三である。まだ当選して2年目。サラブレッドと称された若手議員の一人にすぎなかったが、将来を嘱望されていた。
だから、今日の安倍首相が「村山談話」に反対なのは分かりきった話である。
 
そのグループというのが、「終戦50周年国会議員連盟」(衆参161人)だったのだ。この議連は、村山首相が提示した戦争を反省する決議にしつように反対し、日本にまだ国家神道カルトの人達が存在することを内外に知らしめた。
会長は終戦時の内務官僚(警察のボス)奥野誠亮
事務局長は、板垣大将の息子である板垣正参議院議員
94年12月に結成されたこの議連の事務局長代理には、まだ当選1年余の安倍が就任した。どれほど期待されていたか、分かるだろう。
 
さて、この議連と連動した民間勢力も生まれた。
終戦50周年国民委員会」(会長;加瀬俊一)
この会の結成には、
日本会議英霊にこたえる会日本遺族会神社本庁明治神宮靖国神社神道政治連盟、教科書を正す親の会、・・・・など右翼勢力がずらりと並んでいる。そして「終戦50年国会決議」に反対し、「戦没者追悼、感謝決議」の国会採択を求め地方議会に働きかけた。こうして26県議会。90市町村が採択した。
この右翼勢力が活動の結果、「敗戦50周年国会決議」は、侵略戦争の反省などまったく無いようなものになってしまったのである。
そのために村山談話を出さなければならなくなったのである。