自民党のいう守るべき「日本の伝統」とは何なのか?
自民党の党是の中心である「日本の伝統を守る」とは何だろうか?
「日本の伝統」というと「日本舞踊」とか「柔道」とかを思い浮かべる人がいるかも知れない。しかしここで言う「日本の伝統」とはそういうものではない。
それも少しは含まれるかも知れないが、ぶっちゃけここで言う「日本の伝統」とは「天皇制」の事である。
戦争中から日本を研究し、自殺行為でしかない「特攻精神」の支柱に国家神道の存在を知っていたアメリカは日本の敗戦後、すぐさま神道指令を発令した。GHQは、国家神道に対して厳しい見方を示し、「小骨の一本まで抜き取る」姿勢を見せた。さらに大日本帝国憲法と教育勅語を諸悪の根源として、これを改正し「日本国憲法」が創られた。
しかし、自由民主党の産みの親である岸信介はこの憲法を改悪して天皇元首制憲法つまり大日本帝国憲法を復活させることを望んでいた。これが自民党の党是である「日本の伝統を守る」の正体なのである。だから自民が大勝したのち、安倍は岸の墓を詣でて、果たされなかった祖父の妄念を果たす事を誓ったのである。
それは元より自民のレゾンレートル(存在理由)である「日本の伝統を守る」なのだから。
ところで昭和初期ーソ連のコミンテルンで決定された32年テーゼで、共産党は「天皇制打倒」を目標とした。なるほど分からないでもない。ロマノフ王朝を刃にかけたように、共産主義者は世界の王朝に反発し、しばしば残酷な虐殺シーンを展開して来た。彼らは、虐げられた者の怨みからそうして来たのだ。
むしろ天皇には「国家の中枢」に象徴として機能している事自体をやめていただき、普通の人になっていただきたい。その方が幸福だろう。
神道に関して言えば、戦前のクリスチャンだった私の祖父によると神社参拝を強要され、それに少し言い逆らうと配属将校にボコボコに殴られたという。神社参拝をしたくないというと殴られるような当時の世界だったのだ。自民党の愛国には、この「神社」という「伝統」がつきまとっている。安倍が神道政治連盟議員懇親会の会長であることからも明白であるといえる。