「完全に解決」は個人には適用しないと日本政府は答えている

 
これは国会会議録検索システムで調べた日韓基本条約「完全に解決された」の解釈である。
 
清水議員の質問に対して政府委員は、 「この条約をもって個人の権利を国内法的な意味で直接消滅させたというものではないわけでございます」と答えている。
「外交保護権の放棄」というのがあるらしい。
まあ、当たり前の事であって、いまさらという感じである。
 
 


 
 
016/040] 123 - 参 - 予算委員会 - 6号
平成04年03月21日

清水澄子 それでは、しかし、日韓条約のこの協定第二条一項でいう財産、請求権というのは、そしてこれが完全に解決されたとおっしゃっているのは、これはいつもおっしゃるように日韓両国の外交保護権の問題であって、両国民の個人が持っている権利というものはいかなる理由があろうとも国家が消滅させることはできないということは、これは確認ができると思いますが、いかがですか。
 
 
政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の問題につきましては、以前にも先生にお答え申し上げたことがございますが、ただいまおっしゃいましたとおり、いわゆる請求権放棄というものは、条約上の問題について申し上げますれば、まさに御指摘のとおり、外交保護権を放棄したということでございまして、この条約をもって個人の権利を国内法的な意味で直接消滅させたというものではないわけでございます。
 ただ、若干補足させていただきますと、この請求権・経済協力協定の第二条の三項に具体的な請求権処理の規定があるわけでございますが、ここでは二万の締約国及びその国民の財産、権利及び利益」、その後はちょっと長くなりますから飛ばしますが、「に対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権」については「いかたる主張もすることができない」という形でいわゆる外交保護権の放棄というものをやっているわけでございます。国については自分の権利を放棄するということでございます。そこで、ここで「財産、権利及び利益」と言っておりますのは、この合意議事録の方で確認しておりますように、「「財産、権利及び利益」とは、法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利をいう」というふうに決められているわけでございます。
 したがいまして、いわゆる従軍慰安婦の請求の問題というのはこのような実体的な権利というものではないわけでございますが、法律上の根拠のある財産的な、実体的な権利というものにつきましては、我が国においては、昭和四十年当時国内法を制定いたしまして、韓国の方々のこのような実体的な権利についてはこれを消滅させたという経過があるわけでございます。