偽装した戦争 (6)踊らされたジャーナリスト
情報戦において、北ベトナムが勝った
北ベトナムからの情報は全て管理されていた。
北爆のアメリカ軍機は、病院、学校さえ目標にし、多くの子供達を殺している。
南ベトナム軍は農民の作物を思うがままに略奪し、村そのものを破壊している。
などと放送していた。
こうして
解放戦線、北ベトナム=善
の図式が造られた。
しかし実際には、逆の場合の方が多かったのだ。
『アメリカはなぜ勝てなかったのか』の中で三野氏は、
「現実問題として、NLF(民族解放戦線)のテロは、南ベトナムの要人ばかりではなくその家族にまで及んでいる。また地方官僚の一族を根絶やしに殺すような事例さえあった。そのうえ
共産側が多用したB10砲兵ロケット砲は、非誘導弾であったため命中精度は低く、都市部へ撃ち込まれた場合が多くの市民を殺傷している」と書いている。
さらに「北ベトナム軍は国境である非武装地帯を越えて侵入し、テト攻撃の際には数千人の南の住人お殺害した。このような状況は報道陣を完全に締め出している事情もあって、ほとんど明らかにされなかったのである。」と書いている。