「神風」が吹くという教育について

1918年、使用開始された国語の国定教科書に、始めて(蒙古襲来時の)「神風」など、神道主義が顔を覗いている。
やがて、昭和1けた世代が使った「サイタサイタ」教科書は、その国粋思想の象徴的産物である。
 
「・・・そのうち、支那から来た大軍が、これといっしょになって、今にも攻め寄せてこようとした。その時にわかに神風が起こって、敵艦の大部分は沈没し・・・」・・・と書かれている。
 
これを信じて熱狂的軍国主義少年少女が続出した。
 
教育の恐ろしさであった。
 
太平洋戦争時に、中核となったのは、この「神風」教育にさらされた世代であった。
 
伊勢神道の呪いのような、この「神風」教育は、やがて太平洋戦争の中で、「鬼畜米英に闘うわが国には必ず神風がふく」という、破滅的妄想を生み出していく。
 
妄想に元ずく、こうした教育の恐ろしさは、その妄想を信じる狂気を作り出す。
 
1933年に政権をとったヒトラーユダヤ人撲滅の思想に対して、精神科医CGユングは、「現在、ドイツで起こっている集団ヒステリーは、ゲルマン民族の血の中に眠っていたゲルマンの古代神オーディンという元型(アーキタイプ)の復活のドラマである。」と看破している。
 
同じ事が同時代の日本にも適用される。
 
すなわちそれは、日本民族の血の中にいたアマテラス(をはじめとする八百万の神々)の復活に伴う集団ヒステリーであった。
 
日本やドイツが勝っていたら、その集団ヒステリーは、世界を覆っていただろう。