賀川と李承晩

1952年 李承晩大統領は「李ライン」という海域を設けて、日本の漁船が次々に拿捕される事件が起こった。
 
プリンストン大学の同窓生であい、クリスチャンである李承晩大統領に賀川は公開書簡を1955年の毎日新聞に掲載している。
 
それによると、日本の植民地支配を心から詫びながら、許して欲しいと訴え、日韓両国の友好関係を樹立していきましょう・・・・と結んでいる。
 
これに対して李承晩はクリスマス前に長文の返事をした。
 
「あなたは私がはるかに尊敬を寄せている日本の指導者の一人です。あなたのお手紙でお褒めいただき本当に恐縮しています。あなたは多数の日本人が朝鮮人の血をひいているという歴史的事実をあげられましたが、この関係は両国間に
恒久平和を保障するものです。
あなたは日本の40年にのぼる朝鮮支配に対する謝罪の意を表明されましたが、それは私の注意を引いた知名な日本人の最初の発言であります。これまではそのような発言がなかったので、我々韓国人が、日本の韓国に関する関心は韓国の友情を得ることではなく、韓国の領土を回復することだと考えたとしても無理ありません。(中略)
最近、平和ラインが一方的なものであるとイロイロ言われてます。あなたもご存知のように、日本人は平和ラインができる前のマッカーサー・ラインやラーク・ラインをも、ほとんど尊重しませんでした。なにしろ、日本人は自分の利益ばかりを考えて他人の権利を認めようとはしないのですから。
(中略)
私の親愛なる賀川さん。あなたの名まえを高からしめているキリスト教精神のあふれた、あなたの誠実なメッセージに対し、このように長々と手紙でお答えするのをお許しください。
私は日本政府が、アメリカの影響によって多分しりぞけたはずの諸目的を、依然頑強に固執しているのにひどく失望していますが、私の心の中にはあなた同様に人を憎む気持ちがない事を知っていただきたいと思います。我々すべての隣国、とりわけ日本との平和な関係を切望しています。」
 
あなたおよびあなたのご一家へクリスマスのあいさつを添えて 12月19日 李承晩