たぶん奇跡

 私の生まれた家はとても病気や怪我が多い家で、父も母もいっぱい病や怪我を体験しています。決定打はやはり父の半身不随でした。仕事中荷物を運んでいて、2階から落ち、後頭部を強打。以来ピクリとも身体を動かせない状態で、寝たきり中年となりました。医師が回復は無理だと、難しい顔をしておりました。
 
結論から言うならば、かなり回復して車を運転できるくらいにはなりました。
そのキッカケを作ったのは、もちろん私です。・・・と言ってもただのバカがきの功名でしたが・・・
バカ特有の自己中な思考法に基づき、寝たきりの父にこれ幸いとばかりに、「マージャンを教えてくれ」と私はたのんだのです。
こうして、父と兄、私、近所にすむ私の友人の4人で奇妙な家庭マージャンが始まりました。
私の中1の夏休みは家庭マージャンで終わりました。けれども夏休みが終わる頃には、父は震えながらも、自分でパイを触れるようにまで回復していました。
 
それから休みと言えば家庭マージャンです。
そうやって私が高校に進学する頃には父は自分で歩ける位にはなったし、後には車の運転も可能になりました。
 
「家族愛が引き起こした奇跡」と書きたいところですが、愛があったかどうかは微妙です。しかし「家族が引き起こした小さな奇跡」と書けばこれは完全に正しい。
新しくマージャン療法を唱えるべきか、否かは現在考慮中です。