滅びるね

1908年、日露戦争の勝利に国民が”やれ一等国だ”と浮かれていた頃連載されていた、夏目漱石の『三四郎』には一つの予言がなされていた。
熊本から上京して来た三四郎と車中で知り合った広田はこう会話する
 
<広田が呟くように、
「いくら日露戦争になって、一等国になっても駄目ですね」
と言うと、三四郎はすかさず、
「しかしこれから日本もだんだん発展するでしょう」
と抗弁する。すると広田は、
「滅びるね」
と澄ましたものだった
 
それから数年後、新渡戸稲造
「これからは軍が表に出てきて、日本の将来が危うくなる」
とこれまた預言とも言えるような事を述べている。
そしてそのとおり軍部が権力を握るようになるのである。
 
神様はいつも前もって教えてくださるのだが、それに気付くものが少ないのである。