ユング心理学と宗教

『進撃の巨人』の壁

昔、ルドンという19世紀の画家に興味をもった。絵もおもしろいのだが、彼の初期の作品は異常に暗いのだ。愛なき少年時代をすごした絶望が絵に表れていた。ところが青年期に一人の女性と出会い愛し合うようになると一気に作風が変わる。明るい色調が多くな…

罪と罪の自覚について

1903年、ユングは一人の分裂病と診断された女性の担当医となった。 ユングは、彼女の見る夢について話す内に彼女の隠された過去を知るようになった。 このような過去だ。 彼女は結婚前に好きな男性がいたが、その男性は彼女に無関心だと思い他の男性と…

心━その未知なるもの

今から150年も昔、ジャルコーから催眠を習ったフロイド博士は次のような実験をした。 <後催眠暗示の実験> ある人を催眠状態にする。 この人をAと名づけよう。 催眠状態のAに暗示を掛けて 「眼を醒ましたら、窓をあける」と命じ、 さらに、「この命令を…

宗教を語るタブー

宗教をタブー視する戦後の日本 日本の戦後の教育は、宗教とか信仰とかいったものにはできるだけ触れない方針を堅持している。シュヴァイツァー博士を紹介するときでも、NHKは決して伝道師、神学者、宗教音楽家とは言わない。医師、オルガン奏者でとどまる…

タブーと悪魔の関係

ユンク心理学では、「影」と言う概念がある。 これは夢の中では、色の黒い人の姿で顕されており、抑圧されたものやタブーの集まりであり、その人の心の中の陽の当たらない部分の象徴である。 ところが、「影」の概念には個人の心を超えた「民族的影」や「普…

人間関係を勝利する

初めて会った時から、嫌な奴だと感じていた。 だが、いろいろあってやがて互いに相手を誤解していた事に気付き仲良くなって行った。 こういう体験は無いだろうか? ユング心理学の理論家達は、こうした現象を「投影→投影引き戻し=過程」で説明している。 我…

実在するものを虚体であると述べるのは、真理に反しているのだという事

http://blogs.yahoo.co.jp/dyhkr486/64827948.html d y h * r 4 8 * さんの書いた記事に次のようなものがある。 『スッタ・ニパータ』を始めとする初期仏典の中には、悟ったあとの釈迦に、時折、「悪魔」が登場し、釈迦に語りかけてくる場面がある。仏典にお…

<カイン・コンプレックス>

ユング心理学には<カイン・コンプレックス>という言葉がある。 コンプレックスとは、感情とイメージによって複合的に造られる心の中の存在である。 簡単に言うと、私達が人間関係の中で、自分よりも恵まれていると感じる人に、嫉妬と憎悪を感じるような時…